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ai約4分

AIが賢くなったので、指示書を半分捨てた

新モデルが出たら設定を足す。それが常識だ。Fable 5.1が来た日にやったのは逆だった。常時読み込む指示を37kトークンから13kへ、記憶の系統を4本から2本へ。弱いモデルのための足場は、強いモデルには重りになる。

#AI#Claude Code#agent#workflow#context-engineering

Overview

新しいモデルが出た。普通はここで設定を足す。新しい癖に合わせた指示、新しい機能を使う手順、前のモデルではできなかった仕事の割り当て。

Fable 5.1 が来た日にやったのは、逆だった。捨てた。半年かけて積み上げた指示書を、一日で半分。

強いモデルにとって、弱いモデルのための足場は重りになる。

これは根性論ではない。数字で確かめた話だ。

足場は、いつの間にか本体より重くなる

指示書は失敗の数だけ増える。

AIエージェントに仕事を任せていると、失敗のたびに一行足したくなる。「完成と言う前に実機で確認しろ」「共有ファイルを上書きする前に他人の編集を見ろ」「この客先の表記はこう」。一つ一つは正しい。全部正しい。だから消せない。半年でそれが150件を超えた。

7月の時点で、会話が始まる前に窓の半分が埋まっていた。

常時読み込む指示は156KB。セッションを開いた瞬間に文脈の約半分が消え、数往復で圧縮が走る。このときは大きな3ファイルを110KBから36KBへ削って凌いだ。それでも8月末には常時読み込みが28,000トークンまで戻っていた。削っても、また増える。失敗が起きるたびに書き足す構造そのものが原因だからだ。

足場は、それを必要としたモデルのために作られている。

150件の事例則は「前にここで転んだ」という地図だ。判断力の足りないモデルには、その地図がないと同じ穴に落ちる。だが判断力のあるモデルに地図を全部渡すと、地図を読むことに窓を使い、本題を考える余地が減る。

何を残し、何を捨てたか

基準は一つだけ。その行は、毎回効くか。

毎回効く行は残す。特定の案件、特定の画面、特定の失敗にしか効かない行は、常時読み込みから外す。必要になったときに引けばいい。それだけの整理で、常時読み込む指示は37,000トークンから13,000トークンを切った。

記憶も同じ基準で見た。4系統あった記憶のうち、生きて使われていたのは2本。残りは読み込みコストだけを払い続けていた。眷属ごとに膨らんでいた記憶も、一番大きいもので515KBあったのを30KB以下に落とした。使わなくなったツール接続とスキルも外した。

削って落ちたのは、圧縮の頻度と、指示書を書き足す時間。仕事の質は落ちていない。

「禁止語リスト」を足さずに、AI臭い文章を消す

同じ発想を、文章の規律にも当てた。

AIが書いた文章は読んだ瞬間にわかる。「〜の重要性」「以下にまとめます」「いかがでしょうか」。これを消したい。普通の解は、全キャラクターの指示書に禁止語を書き足すことだ。30キャラクターに30回、同じリストを貼る。

やらなかった。それはまた足場になるからだ。半年後に150件の禁止語を抱えて、同じ記事をもう一度書く羽目になる。

モデルに渡す規範は一枚に収め、語彙の検査はモデルの外に出した。

モデルには「どう書くか」だけを短く渡す。「何を書かないか」の一覧は渡さない。禁止語を数えるのは判断ではなく検査で、検査は機械の仕事だ。役割を分けると、指示書は太らない。

翌日、全キャラクターの指示書を監査した。新しいモデル向けに直すべき古い癖は一つも出なかった。出てきたのは人間側の手癖ばかりだった。足場の腐食は、モデルではなく人間側で起きていた。

モデルを信じないから、指示が増える

指示書が厚くなるのは、モデルを信じていない証拠だ。

半年前のバックログにこう書いてあった。「研究は過度なシステムプロンプトは足かせと指摘。実測で検証する価値あり」。当時は種のまま置いた。今回それを実測で回収した。常時読み込みを3分の1にして、仕事の質は落ちていない。落ちたのは圧縮の頻度と、指示書を書き足す時間だ。

次のモデルが来たら、また削る。

足すのは簡単だ。失敗のたびに一行書けば、その場では安心できる。削るのは難しい。どの行がもう要らないかを、相手の判断力を見積もった上で決めなければならないからだ。その判断こそが、モデルではなく人間の仕事として残る。

AIと一体になって仕組みを発明する、というのはこういうことだ。仕組みは増やすものではない。相手が育った分だけ、こちらが手放す。